中越から見る地域づくりの本質② 安心のあり方
「よくわからなけど、まぁ大丈夫じゃない?」
地域の方と話していると
よく聞くフレーズです。
その背景には、
「もし何かあっても国や役場が
なんとかしてくれる」
「今までも大丈夫だったから今回も大丈夫」
と言った根拠のない期待が
あるように感じます。
本書ではこれを「安心のあり方」として
分析しています。
吉川肇子らは、安心のあり方に人びとの知識の程度が検討されていないと指摘する。知識や情報がないにも関わらず無自覚に安心している状態と、知識や情報を与えられたうえで安心している状態がある。
知識なしで安心している状態は望ましくないとしたうえで、情報を得て能動的に安心している状態を目指すべき
『震災復興が語る農山村再生 地域づくりの本質』223ページ
安心の分類
中越では震災によって無知型安心から
無知型不安に陥りました。
震災後に急激に過疎化が進行した結果、専門家と専門機関に期待せざるを得ない状態は依然として変わらないものの、これまでにない不安感が住民のなかに生まれていく(無知型不安)。その後、専門家ではない支援者が協働作業や話し合いを繰り返すことで住民の主体性(能動的な意識)が生まれ、住民自らが将来の目標の設定に至った。この段階は、まだ住民の不安感は解消されていない状態(能動型不安)である。
目標が設定されると、その目標、すなわち能動型安心の状態に向かって知識・情報を求める意識が住民に芽生え、専門家による支援が有効に機能し始める。
『震災復興が語る農山村再生 地域づくりの本質』224ページ
中越における能動型安心までのプロセス
①無知型安心→②中越震災→③無知型不安→④協働と対話→⑤主体的意識の醸成→⑥目標の設定→⑦能動型不安→⑧知識と情報を求める→⑨能動型安心を目指す
能動的安心を目指すには、
住民の主体的意識の醸成が必要です。
その状態に持っていくのが、前回お話した
「たし算のサポート」の役割です。
能動型安心に持っていくためには
知識・情報が必要ですが、
ただ闇雲に情報を提供すれば
いいわけではないということを
中越震災から学ぶことができます。