中越から見る地域づくりの本質⑤ 限界集落から奇跡の集落へ
地域づくりと聞いてどのくらいの
地域の規模をイメージしますか?
大きいものは瀬戸内や金沢市などの複数の
地域を含んだエリアや中核市があり、
中くらいのものでは神山や遠野といった町村レベル、
小さいものでは人口数十人の集落があります。
多様な集落レベルの活動事例が多くあります。
その中でも限界集落から奇跡の集落へと言われている
十日町市池谷・入山集落を紹介したいと思います。
昨日の雪はなんだったんだろうってくらい、ピーカン晴れです☀️
— 池谷集落(NPO地域おこし) (@iketanisyuraku) February 14, 2018
それにしても、玄関屋根の雪がやばい…。 pic.twitter.com/AUz8OXRGCr
池谷・入山集落は豪雪地帯です。
池谷集落は、1960年の37世帯、人口211人から、中越地震前の2004年には8世帯、22人まで減少し、廃村寸前だった。65歳以上が12人の「限界集落」である。入山集落は1989年以来、定住する住民がいない。
池谷集落では全家屋が半壊以上の判定を受け、棚田や農道も多くが被害を受けた。(中略)住民たちは「集落は再建できない」と感じたという。
復興の発端となったのは、入山集落出身の山本浩史さんと、山本さんが入山集落に残した山小屋を借りて暮らしていた画家の稲田善樹さんの存在である。稲田さんは農村の風景を描く拠点を求める過程で山本さんと出会い、2000年から東京都稲城市との2地域居住をしていた。
震災当日に山本さんの自宅へ避難した稲田さんは、全国から支援を集める必要性を感じ、パソコンで被害状況を知り合いに発信していく。その一つが、海外の紛争・災害地で救援復興支援を行うNPO法人JENである。稲田さんは「今後も大きな地震災害が起こる。国内の災害でも経験を積んでおいたほうがいいから、十日町に来てほしい」と呼びかけ、2つの支援要請をする。
ひとつは、十日町だけで1万人を超える避難者への生活支援や被災家屋の片付けなどの緊急支援、もうひとつはこの地震によって過疎に拍車がかかると予想された池谷・入山集落の再生支援である。
『震災復興が語る農山村再生 地域づくりの本質』64-65ページ
JENは集落からの要請に素早く対応し、
多くのボランティアが入って来ました。
山本さん・稲田さんは
ボランティアを受け入れるため
「十日町市地域おこし実行委員会」
を設立。
震災前からビジター・パートナー的存在の
山本さん稲田さんがいて、2人をきっかけに
専門家のNPO法人JENと繋がり、
さらにそこからボランティアという
多くのオープナーを地域に入れる流れを
作ることができました。
そしてこの交流から「お米の直販」など
新たな展開が生まれました。
2005年秋ごろから山本さんは、ボランティアに「池谷・入山のお米を直販できないだろうか」と相談していた。9月に大塚商会の大会議室で行われた復興支援イベントがきっかけとなり、11月に総務部の計らいで、社員に対して試験販売(3キロ入り1950円)が実現する。
2006年4月からは、実行委員会の事業で本格的に米の直販販売を開始した。
米の直販は年々広がり、2010年には8.3トンにまで増えた。
『震災復興が語る農山村再生 地域づくりの本質』70-71ページ
昨日は池谷・入山集落の「山清水米」の精米日でした!
— 池谷集落(NPO地域おこし) (@iketanisyuraku) July 10, 2015
平成27年産新米も本日予約開始です!!
池谷の農家が丹精込めて作った魚沼産コシヒカリを、ぜひご賞味ください!
ご注文はこちらから→http://t.co/XRlgQS0nIr pic.twitter.com/RxRG5jXjAm
ちなみに池谷・入山集落では
ネットショップも解説しています
http://iketani.org/blog/okome-141/
外資系企業のボランティアも受け入れ。
2007年のボランティア活動では、フェデックス(航空貨物輸送会社)やモルガンスタンレー証券などの外資系企業とJENの共同プロジェクトが始まる。企業の社会的責任(CSR)の一環として、社員を農作業ボランティアへ派遣するというものだ。
『震災復興が語る農山村再生 地域づくりの本質』72ページ
色々な人との交流の中で、
最初は諦めていた住民の気持ちに
変化がおきました。
2年以上にわたるボランティアの受け入れや米の直販事業の取り組みは、住民の考えを大きく変えた。集落のリーダー的存在である曽根武さんが「ほんとうはこの村を残したいんだ」と口に出し、みんながこの言葉に、堰を切ったようにうなずいたのである。
『震災復興が語る農山村再生 地域づくりの本質』73ページ
この後、集落に移住してくる若者が現れ、
池谷・入山集落はさらなる活動を
展開していきます。
2018年の11月には地域おこし協力隊として
集落に入った多田朋孔さんが「奇跡の集落」
という本を出しました。
https://www.amazon.co.jp/奇跡の集落-廃村寸前「限界集落」からの再生-多田朋孔-著/dp/4540181165
続きは、こちらの本の内容も引用しながら
紹介していきたいと思います。