服部シライトのローカルな覚書

福島県の大学と自治体に所属しながら、 地域が抱えている課題に取り組んでいます。国内外の論文や著書をベースにした知識とノウハウの紹介と、実際に地域で実践しているプロジェクトについて発信します。

地場産業のアップデート事例6選②

前回は地場産業を取り巻く社会背景や

環境の変化の経緯と、その中で

どのように革新が行われてきたのか、

タイプ別に紹介してきました。

今回は具体的な事例を見ていきます。

 

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出所:熊坂敏彦『「循環型地場産業」の創造』昭和女子大学現代ビジネス研究所2017年度紀要 6ページ

【1】青森県佐井村

条件不利地における

「連携」による「しごとづくり」 

「海・山」を起点とした「経済循環」が形成・維持されていた昔の「地域内経済循環構造」の仕組み(「海・山」からの収入、「商」の活気、地域の賑わい)からヒントを得て、地域再生の方向性を「内発型地域産業への着目」と「第6次産業の創出」に求めている。

そして、「人口減少・高齢化問題」に対応するため、生活の基盤となる「しごとづくり」が最も重要であるとして、様々な地域資源の活用による産業振興に努めている。具体策としては、水産業振興(「漁師縁組」事業、長崎大学水産学部との交流連携事業等)、地域資源の観光コンテンツ化(圏域内ネットワーク強化)、③観光業の成長産業化等があげられる。

熊坂敏彦 昭和女子大学現代ビジネス研究所 2017年度紀要  6ページ

佐井村における循環型地場産業は、

漁業を中心として官民連携して

推進しています。

 

大日本印刷とは、

アプリ「YORIP」を共同開発し、

新たな観光振興を展開しています

他にもSHARPや地元食品企業と

六次化商品を共同開発しています。 

 

【2】千葉県神崎町

「発酵の里」をテーマにしたまちづくり 

老舗酒蔵と有機農業に取組んでいた農家等が集まり、平成20年に「発酵の里協議会」が作られたことに始まる。その後、2軒の酒蔵が個々に行っていた「酒蔵まつり」を町が間に入り商工会や地元商工業者、農家、周辺住民を巻き込んで、平成21年3月に町をあげてのお祭り「発酵の里こうざき酒蔵まつり」に発展させ、2万人の来場者を集めて成功させた。これが契機となって「発酵」をテーマにした官民一体の「まちづくり」が始まった。

町は、「まつりの日常化」、「リピーターづくり」を追求し始めた。そして、町の発酵文化発信拠点・観光交流拠点として平成27年4月に第三セクターの道の駅「発酵の里こうざき」を開設するに至る。

熊坂敏彦 昭和女子大学現代ビジネス研究所 2017年度紀要  7ページ

自治体がハブとなって、

地域資源であるひと・もの・情報

をうまく繋げていますね。

その中心には明確なビジョンを

持つ石橋町長の存在があります。

 

平成25年には、

ゆるキャラも生まれた。

毎年3月に開催される酒造祭り。

一度行ってみたい。。。