服部シライトのローカルな覚書

福島県の大学と自治体に所属しながら、 地域が抱えている課題に取り組んでいます。国内外の論文や著書をベースにした知識とノウハウの紹介と、実際に地域で実践しているプロジェクトについて発信します。

島根県の田園回帰1%戦略とは?

島根県少子高齢化の先進地です。

20年後の日本の姿と言う方も

いらっしゃいます。

都道府県ランキングを見てみると、

生産年齢人口数...47位

人口集中度...47位

公共事業費...1位

地方債券額...1位

と、働き手が減少し税収が減少したので、

地方債を発行して公共事業を行い経済を

活性化している現状が分かります。

 

その中で島根県では

『田園回帰1%戦略』

なるものを実施しています。

書籍も出ていて、関連本も何冊か出ています。

https://www.amazon.co.jp/田園回帰1-戦略-地元に人と仕事を取り戻す-シリーズ田園回帰-藤山-浩/dp/4540142437/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1547620804&sr=8-1&keywords=田園回帰1%25戦略

この戦略を提唱しているのは、

持続可能な地域社会総合研究所所長の

藤山浩さんです。

f:id:osakeherasu:20190116160221j:plain

出所:市町村長セミナーの資料より抜粋

今回は、市町村長特別セミナーの資料

を引用しながら紹介をしていきたいと

思います。

【田園回帰1%戦略とは?】 

人口と所得を毎年1%取り戻す

地区人口の1%ほどの移住者を呼び込めば、

企業誘致・特産品開発に頼る必要はない。

島根県で開発した人口予測プログラムでは、

毎年、地域人口のおよそ1%にあたる分を

定住増加で取り戻せば、人口も安定し、

高齢化もストップし、子ども数も

維持できることがわかってきました。

 

【今、島根県で起きている田園回帰】

過疎が生まれた島根県ですごいことが起きていて、なんと最近、若い人が増えています。

全体として3分の1を超えるところで増えています。中国地方の都市部を含む平均より上回っています。さらに自分のパソコンで結果を出してうなったのは、この分布です。山の中に入ったところ、 さらに隠岐とかフェリーで2時間~3時間かかるような端っこに、今、人が入り始めている傾向があります。

来る側の立場はどうでしょうか。4年前に東京の IT企業で働いていたご夫婦ですが、私の家から30分奥の匹見町に入りました。お聞きしたところ、「中途半端ではなく、本格的な田舎に行きたい」と。これは、私も全くそうだと思います。それは人のつながりでもあり、自然とのつながり、伝統とのつながり。

藤山浩『田園回帰1%戦略〜地元に人と仕事を取り戻す〜』市町村長特別セミナー3ページ

半農半Xの働き方

今の若い人はお金儲けより、もっといろいろゆとりがあって、自分たちでつくり上げる仕事が欲しい。けれども、農業だけで400万~500万円稼ぐのは無理がある場合も多い。例えば、半農半介護とか、半農半看護婦とか、半農半杜氏とか、変わったところで半農半スキー場とか、いろんなパターンがありますけども、 半農半Xコースをつくる必要があります。しかも夫婦で合計4個まで柔軟に考えていったら、本当はそういうのが一番可能性があると思っています。

藤山浩『田園回帰1%戦略〜地元に人と仕事を取り戻す〜』市町村長特別セミナー4ページ

移住支援も仕事探しの支援も

多様で充実しています。

 

 【人口分析】

どの世代を何組、毎年入れるってことを含めた具体的な総合戦略が必要です。20代、30代、 60代の仕事のつくり方、家のつくり方は、違いますから。そのように具体的に考えて、的を絞ったやり方を総合戦略に反映させる必要があります。

人口1万の島根県邑南町のケースですが、 12の公民館区が中心になってしっかり地域づくりをやる方針をされています。必ず全ての公民館に1名は正職員を置き、あと2人嘱託職員で対応しています。さらに地域住民が、地域自治組織をつくって一緒に事務所を共有化して、地域づくりに頑張っています。それぞれの地元ごとに人口予測して、このままじゃこうなる。だったら何組ずつ入れたらいいかというような感じで頑張っています。

人口1%分の定住をふやすことで、実は地域人口の安定がかなりの地域で見込めます。これが一番最初に申し上げたいことです。1%に意味があるのではなくて、それをしっかり地域の住民の人と一緒に目標として共有することが一番重要です。それがわかったら、次は早いです。

藤山浩『田園回帰1%戦略〜地元に人と仕事を取り戻す〜』市町村長特別セミナー5ページ

 

続きは次回紹介しますね。