【産学連携】CASE1 . 島根県立大学 出雲キャンパス
ここ十数年間、各分野で多くの産学連携、
産官学連携による事業が各地の学校で
実施されてきました。
このブログでは主に食・農・デザインに
関するケースを紹介していきます。
今回は次の論文を参照して、
島根県のケースを紹介します。
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島根県立大学出雲キャンパス
での産学連携商品開発の
現状と問題点
山下一也・藤田小矢香・吉田洋子
島根県立大学出雲キャンパス紀要 第13巻 2018
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【産学連携と大学の使命の変化】
産学連携が本格化して既に10数年になるが、大学の使命も研究、教育の2本柱に社会貢献やその成果の還元が加わった3本柱が打ち出され、産学連携は内容拡充の時期に入ってきている。
島根県立大学出雲キャンパス紀要 第13巻 2018 p.153
【産学連携の目的】
産学連携の目的としては、「学」の技術シーズと「産」からの市場ニーズを結びつけて、ビジネスのタネを見出し育てていくことであり、それにより産業界の活性化と発展に寄与していくことである。このことは「学」の研究重視の風土と「産」の利益追求を第一とする文化が直接接触することになる。
島根県立大学出雲キャンパス紀要 第13巻 2018 p.155
【現状】実施件数は、年々、増加
民間企業との受託研究において、研究費受入額は約110億円と、前年度と比べて約1億円減少したが、3年連続で100億円を超えている。さらに、研究実施件数は7.145件となり、前年度と比べて192件増加している。平成22年度から平成27年度において、研究費受入額の平均伸び率が大きい機関として、立命館大学、近畿大学、早稲田大学とこの方面に力を入れ、産学連携の専任の職員配置をしている。
島根県立大学出雲キャンパス紀要 第13巻 2018 p.153
地域のため、未来のために。「産学連携×地方創生」への挑戦 (PR Table) #NewsPicks https://t.co/mPLLnzk2GD
— 中島 陸® (@leongafls) February 20, 2019
第11回中央農業大学校学生&GGCグループコラボメニュができるまでその2
— 群馬県ステーキ&ハンバーグ専門店GGC・ハッピーバーグ (@happyisland_ggc) November 22, 2018
2018年10月10日(水)に中央農業大学校で2019年1月販売予定のメニューの第2回試食会の様子です。このメニューは2019年1月に販売予定!産学連携新商品開発プロジェクト♪https://t.co/qa4AmjJuEf #中央農業大学校 #ハンバーグ pic.twitter.com/UnFM5TmDpO
産学連携の取り組みは、
年々多様になってきています。
【島根県立大学の取り組み】
①エゴマ保湿化粧品「オメガメロディ」
定価:5,000円(税別)、267本の売り上げ
似た他化粧との差別化が十分にできていない
②エゴマ醤油
広島県の大手醤油メーカーと共同開発。
180mlの瓶に5%のエゴマ油を含有しており、2017年2月より
600円(税別)で販売しており、約10か月で、 3.476本の売り上げがある。
現在、県内6カ所で販売を行っており、売り上げも順調である。
島根県立大学出雲キャンパス紀要 第13巻 2018 p.154
③エゴマあごの焼きかまぼこ
出雲地域の特産品、あごの焼きかまぼこに
エゴマの実を混ぜて製品化。
④えごまブレンド茶
出雲の製茶屋と共同開発。
健康的な効果が期待できるけど、
まだ証明されていない要素もある。
⑤ヘルスツーリズム
ストレスを感じている人を対象にした
1泊2日の体験プログラム。
出雲大社の早朝参拝、ヨガ、温泉浴、
薬膳料理、瞑想、医療面談など。
【産学連携の問題点】
「マンパワーの重要性」
産学連携は国の政策的なテコ入れで枠は出来上がってきたが、これを運営していく「人」や「チーム」の力量次第である。現在、産学連携で多くの成果をあげている大学は専属チームやコーディネーターがいて、協力や情報を得ることの出来る人脈を如何に多く擁するかの日頃からの努力の積み重ねを行っている。ただ、都会の総合大学と比べて地方の小規模の本学が、独自に体制を整備するのは難しい。
島根県立大学出雲キャンパス紀要 第13巻 2018 p.155
「製品化・事業化の壁」
研究開発の前に立ちはだかるといわれる3種類の壁を、研究開発のフェーズによって「魔の川」「死の谷(デスバレー)」「ダーウィンの海」と言われている(図)(北村2016)。特に、「死の谷」「ダーウィンの海」である開発、製品化から、事業化までの間の難関・障壁に対しては大学側の弱い部分であり、今後産学連携の促進のためには乗り越えて行かざるを得ないハードルでもある。
島根県立大学出雲キャンパス紀要 第13巻 2018 p.155
「県内(小規模企業)の難しさ」
本学の産学連携商品開発においては、県外企業との連携での商品開発は比較的良好である。しかし、連携先の県内企業は小規模の企業であることもあり、十分に進展していないのが現状である。その理由として県外の企業は産学連携の実績も十分にあり、県内で産学連携を推進していくには「死の谷」「ダーウィンの海」が存在しており、かなり難しいことも分かった。
島根県立大学出雲キャンパス紀要 第13巻 2018 p.155
【おわりに】
「成功の定義」
産学連携プロジェクトの成功の定義は大学によって異なると言われており、プロジェクトの目標達成や技術の確立などの“上流” を成功とみなす大学と、本来は企業の業務である商品化、売り上げが立つなど、“下流”を含めて成功とみなす大学とに二分されている(三森.2010)
島根県立大学出雲キャンパス紀要 第13巻 2018 p.156
「教員の参画意識」
本学の研究者の一部には社会貢献について極めて高い志を持った教員がいるが,産学連携に関して積極的に参画する教員はまだ少ない。したがって,本学での産学連携の活性化するためにもその理解を教職員に更に高めていく必要がある。
島根県立大学出雲キャンパス紀要 第13巻 2018 p.156